以前の記事で焼成の前後で転写紙の色味が変わることをご紹介しました。
今回は上絵の具についてです。
転写紙ほどではありませんが、色味に変化があるので見ていきましょう。
上絵の具のスポンジング色見本です。
スポンジングとは、スポンジを使って上絵の具を広範囲にムラなく塗布するポーセラーツの技法です。
焼成前後の上絵の具の色味を見比べると全体的に鮮やかになっていることが分かります。
特に「E009 マロン」「E012 ネイビー」「E017 ブライトピンク」が明るくなっています。
気になるのはムラです。
「E001 レモン」や「E021 ライムグリーン」などの薄い色ではさほど気になりませんが、「E012 ネイビー」「E014 ブルーイッシュグリーン」「E016 ブルーイッシュパープル」などの濃い色はザラザラとした印象です。
これは黄系やピンク系に対し、青系や緑系などの濃色は上絵の具の粒子の荒さが目立つためです。
白を混ぜることで着色しやすくなりますが、白が加わる分だけ淡い色味になります。
では、濃色をムラなく塗布するにはどうしたらいいでしょうか?
実は上絵の具は厚塗りをして焼成すると割れ剥がれてしまうことがあります。
単純に塗り重ねて濃くすることはできません。
厚塗りを避けつつ濃色のムラを軽減するには、複数回に分けてスポンジングと焼成を行うことです。
色を重ねた分だけ濃くすることができます。
しかし、何度も繰り返すと結果的に厚塗りになって剥がれの危険が伴うので注意が必要です。